ボートレース(競艇)の「持ちペラ制度」とは?持ちペラ制の特徴や廃止の理由、プロペラについて解説!
昔のボートレース(競艇)では「持ちペラ制」が採用されていました!
正式には「選手持ちプロペラ制度」と言います。
選手が各競艇場に自らで調整を行ったプロペラを持ち込める制度です。
プロペラの性能が結果に大きく作用した時代。
なぜ持ちペラ制が廃止されたのか、今回は持ちペラ制の特徴や廃止の理由、プロペラについて解説していきます!
目次
競艇で使われるプロペラとは?
ボートレースでは全選手が直径187mm、重量373グラムのヤマト製のプロペラを使用します!
プロペラはモーターやボートと一緒に貸し出され、レーサーたちはこのプロペラを自分好みの形に調整しレースに挑むのです。
ほんの少しの調整の違いでもその差は大きく、出足タイプの調整をするのか、伸びを重視した調整をするのかなど選手のスタイルによって調整の仕方も大きく違いがあります。
強い選手は自分好みのプロペラを知っていて、毎回同じようなプロペラに仕上げる技術を持っているため成績が安定しているのです。
プロペラ調整は習得に最低4〜5年はかかるとも言われるほど難しいものだ!
プロペラはどのように調整するの?
プロペラ調整はルールにより定められている木製ハンマーとプラスチックハンマーを使用して行われます。
このハンマーでプロペラを叩くことで羽の角度を変え、自分に合った調整をしています。
また、プロペラを叩く際は「プロペラゲージ」というものが使用され、これをプロペラに当てながら微調整を繰り返すことで調整しているのです。
「持ちペラ制」とは
「持ちペラ制」という言葉をボートレースファンなら一度は耳にしたことがあるかもしれません。
実は昔のボートレースでは、自前のプロペラを使用するというルールが採用されていたのです!
このルールを「選手持ちプロペラ制度」といい、それを省略して「持ちペラ制」と呼んでいました。
1988年から2012年まで採用されていた制度です。
プロペラを叩くだけではなく加工業者を使い好みの大きさに削ったり伸ばしたりなど、少しでも良いプロペラを作ろうと選手たちもさまざまな工夫をしました。
実際にこの時代はプロペラの良し悪しが活躍に大きく関係していました。
この時代はプロペラだけで言えばなんでもあり。指定されたプロペラを使ってさえいれば許されていたんだ。
共同で研究を行う「ペラグループ」が台頭
この時代のプロペラ調整は自分の力で叩くだけでは終わりませんでした!
実際、叩いたプロペラで試走を繰り返しデータを取ったり、加工業者を使って様々な加工をしてもらったりなど、できることは全てやる選手が多くいました。
しかし、これだけのことをひとりでやるには時間や費用など多くの労力を費やします。
そこで誕生したのが「ペラグループ」です。
ペラグループでは同じ支部などの選手が合同でプロペラの研究を行い、ペラ調整の強化を計りました。
ペラグループが出来たことにより選手たちが積極的に意見交換するようになったり、試走や調整など各選手が得意な分野を担当することで、そのペラグループ全体がレベルアップするなど様々なメリットが発生しました。
一方で、資金力や選手層の問題から研究に力を入れることができない選手も出現し、実力差が大きく開くきっかけとなりました。
ボートレースに師弟関係が根付いているのはプロペラの研究があったからだ!
先輩のペラをそのまま持ち込むケースも
持ちペラ制であれば、先輩たちが研究を重ね完成されたプロペラを新人でも持ち込むことができてしまいます。
実際に、先輩が調整したペラをそのまま持ち込んでいたケースも多くあるそうです。
この場合、選手自身の実力だけではない部分で大きく結果が変化してしまいます。
一部では持ちペラ制について問題視する声も上がっていました!
持ちペラ制が廃止される
2012年4月、日本モーターボート競走会は20年以上続いていた「持ちペラ制」を遂に廃止します。
日本モーターボート競走会は廃止の理由を、
「選手の持ちペラ制度は、選手のプロペラ修整技術向上により迫力あるレースの具現化に寄与した反面、モーターと選手の持ちペラがどのようにマッチングするかが複雑で推理が難しい」
と発表しました。
廃止の大きな理由としては、持ちペラによりモーターの性能が大きく変化してしまい、モーター勝率などの数値の信憑性が無くなるため予想が困難になる点や、プロペラの調整が選手の資金力次第になってしまう点が挙げられます。
強力なプロペラ調整に成功したペラグループはグループ内全体が強くなるのに対し、資金力の無いグループは加工を思い通りにできず徐々に弱くなって行く一方でした。
ファンからは多くの賛成の声が
持ちペラ制で翻弄されたのは選手だけではありませんでした!
持ちペラの出来次第でレース内容が大きく変化してしまうため予想が非常に難しく、ボートレースファンも困惑することが多かったのです。
現代のボートレースであれば、選手の実力をはじめモーターの成績などである程度予想を組み立てることができますが、持ちペラ制の場合はファンには見えない部分がレース結果を変えてしまっていたのです。
そのため新たなファンは増えづらく、多くは競馬など別の公営競技に流れていきました。
売上も低迷していたさなかの持ちペラ制廃止であったため、ファンからは支持する声が多く上がりました。
実は選手も賛成の声が多かった
持ちペラ制廃止は、実は選手からも多くの賛成の声が上がりました!
持ちペラ制の場合レースが無い日でもプロペラの研究をしなければならず、体を休めることができませんでした。
また、仮に強いプロペラが完成しても、それを上回るプロペラを作るために研究が終わることはありませんでした。
そのため、選手たちは研究費用をかなり費やしていたのです!
持ちペラ制廃止は休みをしっかり取れたり、お金をかけなくて済む点から選手も好意的に受け止めました。
「アウト屋」は苦しめられた
持ちペラ制廃止のダメージを最も受けたのは「アウト屋」と呼ばれる選手でした!
アウト屋とは伸び型のプロペラ調整を行い、どのレースでも常にアウトコースを取りアウトコースから全艇をまくるレーススタイルを貫く選手です。
持ちペラ制廃止により伸び型の調整に限界が生まれてしまいました。
たとえば、アウト屋で有名な阿波勝哉選手は持ちペラ制の時はA1級も経験している選手でしたが、現在ではB1級やB2級の選手となってしまいました。
また、同じくアウト屋で有名な澤大介選手も成績低迷に苦しみ、2021年にアウト屋を卒業してしまいました!
澤選手は引退勧告ギリギリまで成績が低迷していたが、アウト屋を卒業した2021年に大きな復活を見せた。どれだけアウト屋が大変かが分かる。
まとめ:ファンも増加し結果的に成功した「持ちペラ制」廃止
今回は競艇のプロペラや2012年まで採用されていた持ちペラ制について解説しました!
持ちペラ制廃止以降、売り上げは大幅に回復しボートレースファンを取り戻すことに成功!
また、選手たちも技術力やモーターの調整力を磨くようになり、プロペラ以外の部分で勝敗が分かれるようになりました。
私たちファンから見ても、予想がしやすくなったりメリットが大きかったように思えます。
- しょーへい
- 小さいときからスポーツが大好きで、競艇の競技性に惹かれ競艇をやるようになりました。
人間味のある選手が好きで、そんな選手は人気じゃないときもついつい応援舟券を買っちゃいます。
趣味はもちろんスポーツです。